エンディングノートは、自分の人生や思い出、残したいメッセージなどをまとめた大切な記録のひとつです。
この記事ではエンディングノートについて解説し、その意義や作成方法、遺言書とエンディングノートの違いなどについて解説します。
目次
エンディングノートとは
エンディングノートは、自分の終末期や死後の希望や意思を記録するノートです。具体的には、遺産の分配や埋葬方法、医療上の意思決定など個人の望む形で人生の締めくくりを迎えるための情報が含まれます。
エンディングノートと遺言書の違い
遺言書とエンディングノートとの決定的な違いは、法的効力があるかどうかです。どちらも遺産の分配方法などについて書くことができますが、遺言書には法的に強制力があり、書いた人が亡くなった後の手続き(不動産の名義変更や預貯の解約・名義変更など)に使用することができます。
一方、エンディングノートには法的な効力はありませんが、病気や介護が必要になったときなど生きている間のことについても書くことができますし、葬儀・お葬式・お墓のことなど様々な希望を書いて大切な人に伝えることができます。
エンディングノートで自分のこれまでの人生やこれからの希望、今の財産の状況を整理して、あわせて遺言書も作成しておくことで、生前も死後も身近な人が困らないようにしておくことができます。
エンディングノート | 遺 言 書 | |
---|---|---|
法的効力 | × | 〇 |
書き方 | 形式は自由 (市販のエンディングノートを利用しても良い) | 決まった形式で書く必要がある (原則として全文自筆。日付を入れるなど) |
内容 | ・自身の経歴や情報について ・これまでの人生を振り返っての思い出 ・葬儀、納骨の希望 ・介護、延命治療に関する希望 ・資産について ・残された方へのメッセージ など (何を書くかは原則、自由) | ・財産の分け方 遺産分割方法の指定 遺贈について 相続分の指定 ・遺言執行者の指定 ・身分に関する事項 子供の認知 未成年後見人の指定 ・相続人の排除 (原則、法律で決められた「遺言事項」のみ) |
作成費用 | 比較的低い (市販のノートを利用するならその購入費用) | 自筆の場合は比較的低いが公正証書の場合は数万円~ また、専門家に相談する場合は別途、費用がかかる |
エンディングノートの内容
エンディングノートには次のようなことを書くとよいでしょう。
①自分の基本情報について
氏名(旧姓)・生年月日・住所・本籍地・血液型・マイナンバー・運転免許証番号・健康保険証番号 など
②自分史、趣味・嗜好、思い出に残っていることなどについて
③家族・親族関係について
④親しい友人・知人について
⑤財産・資産について
通帳・印鑑・貴重品の保管場所や契約している保険などについても書いておくとよいでしょう。
⑥会員契約、定期購入、SNSのアカウント、ID・パスワードなどについて
⑦医療・介護の希望について
⑧葬儀・お墓について
エンディングノートを作るメリット
エンディングノートを作成することで、次のようなメリットがあります。
意思表示と希望の明確化
エンディングノートは、あなたの望む希望や意思を文書化する手段です。健康状態や医療処置、葬儀の希望など、将来の重要な意思決定に関する情報を明確にすることができます。これにより、自分の希望が尊重され、家族や医療関係者が適切な判断を行う手助けになります。
財産の整理
エンディングノートに銀行口座、保険契約、投資口座、不動産の情報などをまとめることで、遺産管理や手続きがスムーズに行われるようになります。
遺族の負担軽減
エンディングノートには、緊急連絡先や重要な文書の場所などの情報を書き込むことができます。これにより、あなたが亡くなった後、遺族が情報を探し回ったり手続きに苦労することが減ります。
デジタル遺産の管理
近年、多くの人がオンラインアカウントやデジタルデータを所有しています。エンディングノートには、これらのデジタル遺産に関する情報やアクセス方法を書くことができます。これにより、あなたのデジタル遺産が明確になり、適切な処理が期待できます。
最近は、ご遺族の方から、亡くなった方がパソコンでSNSの利用や暗号資産を所有していたようだけれども、パソコンにパスワードがかかっていて中を確認することができないので困っている、といった相談も増えています。そのようなことにならないように、エンディングノートに情報を残しておくことが大切です。
具体的には、所有している情報端末の種類(携帯電話・パソコン・タブレットなど)、その端末に関する情報(電話番号・ログインパスワード・メールアドレスなど)、利用しているSNSの種類(X・Facebook・Instagram・LINEなど)とID・パスワード、所有している暗号資産の種類と情報(秘密鍵やウォレットなど)に関する情報を残しておくことで、遺族が適切に処理することができるようになります。
家族や関係者とのコミュニケーション
エンディングノートは、家族や関係者とのコミュニケーションのきっかけとなる場合があります。重要な話題や希望について話し合い、意見を交換することで、家族間の理解と絆を深めることができます。
エンディングノートの形式やテンプレート
エンディングノートに決まった形式や書き方はありません。一般に販売されているノートに書いても問題はありません。ただ、上記の項目を自分で整理して一から書くのは大変です。最近では、書店やインターネットで様々なタイプのエンディングノートが販売されていますし、相続対策の専門家(弁護士・司法書士・税理士)が独自に作成して配布しているものもあります。せっかく書くのであれば、いくつか形式やテンプレートを比較して、自分の気に入ったものや書きやすそうなものを選ぶとよいでしょう。このサイトでも無料でエンディングノートを提供させていただいていますので、ぜひご活用ください。(リンク貼る)
エンディングノートの保管と共有方法
エンディングノートを作成したら、そのことを家族などに伝えておく必要があります。保管方法や情報共有については、以下の点に注意が必要です。
安全な場所で保管する
エンディングノートは個人情報を含む重要な情報を含んでいるため、安全な場所で保管することが重要です。防火金庫やセーフティボックスなど情報を保護するために適切な方法を選びましょう。
信頼できる家族などに保管場所を伝えておく
エンディングノートは、信頼できる代理人や家族と保管場所などの情報を共有し、必要なときに確認してもらうことができるようにしておきましょう。
弁護士などの専門家に預ける
エンディングノートと遺言書を作成してある場合には、その両方を弁護士などの専門家に預けておくことも検討しましょう。それにより適切な形で保管・共有してもらうことができるようになります。
ただし、エンディングノートには非常に個人的な情報が含まれるため、プライバシーとセキュリティーに留意することが重要です。適切な保護対策を講じ、情報を必要な人と適切に共有するようにしましょう。
定期的に見直しをする
エンディングノートは一度書いたら終わりというわけではありません。定期的に見直して、環境や心境、家族や資産の状況に変化があったら、そのつど書き直したり、内容を追加したりしましょう。
まとめ
エンディングノートは、人生最後のメッセージになるものです。大切な人たちに対して感謝の気持ちや思いを伝えるだけでなく、残された家族や友人が迷わずに自分の意思を実現できるようにするための道しるべとしても役立ちます。
あせることなく時間をかけてじっくりと、思いを込めたエンディングノートを作成しましょう。