「亡くなった親の借金も相続の対象になるの?」
「借金があるかどうかわからないけど、調べる方法ってあるの?」
「不動産とかプラスの財産だけ相続して、借金は相続しないことってできるの?」
親御さんやご親族が亡くなり相続手続きが必要になったとき、亡くなった方の借金についてはどうすればよいのか心配ですよね。この記事では、そんな方々の疑問にお答えします。
目次
亡くなった方の借金も相続の対象になるの?
相続の対象になる「財産」には、現金・預貯金や不動産(土地・建物)などのプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金)も含まれます。
親がした借金は、保証人などになっていない限り親御さんが生きていらっしゃる場合は支払う義務はありませんが、亡くなったら相続の対象となり、相続人が支払わなければなりません。
相続の対象になる借金ってどんなものがあるの?
相続の対象になる借金には、次のようなものがあります。
①住宅ローンや事業性融資などの金融機関(銀行など)からの借入金
②消費者金融からの借入金
③クレジットカードやカードローンの利用残
④未払いの家賃や水道光熱費などの公共料金、携帯電話の利用料や分割払いの端末代
⑤未払いの税金や健康保険料・介護保険料など
⑥友人・知人など個人からの借入金
ただし、住宅ローンについては、団体信用生命保険に加入していることが多く、亡くなった方が加入していれば保険金によってローンが完済されます。
亡くなった方の借金の調べ方
信用情報機関に照会する
上記の借金のうち、①~③については貸主である金融機関や消費者金融会社、クレジットカード会社が加盟する信用情報機関に借入や利用の履歴が登録され、金融機関などの間で情報共有されています。借主や利用者本人やその相続人は、これら信用情報機関に情報開示を請求できます。
信用情報機関には次のようなものがあります。
・全国銀行個人信用情報センター(略称KSC):
全国銀行協会が運営する信用情報機関です。
・シー・アイ・シー(略称CIC):
各クレジットカード発行企業(含む信販会社)と、信用保証会社、自動車や機械等のローン・リース会社、移動体通信事業者、小売店などと、一部の消費者金融会社・銀行・労働金庫・農林中央金庫などが加盟しています。
・日本信用情報機構(略称JICC):
主に貸金業者が加盟する信用情報機関です。
亡くなった方の自宅や郵便受けの郵送物などを調べる
自宅内や郵便受けに次のような書類が残されていないでしょうか。それらの書類をもとに相手方や発送先に問い合わせてみましょう。
・借用書、金銭消費貸借契約書、割賦販売契約書などの契約書類
・返済予定表や取引明細書
・請求書や督促状
・税金や健康保険などの納付書
銀行通帳を調べる
クレジットカードを利用したショッピングやローンの返済、公共料金の引落しなど銀行口座を通じて支払いをしているものも多いので、通帳を記帳して、記録を調べてみましょう。詳細が不明な場合は、上記2と同様に引落し元の機関に問い合わせてみましょう。
亡くなった方に借金が多い場合
亡くなった方が多くの借金を残していた場合には、相続放棄を検討しましょう。
ただし、相続放棄はマイナスの財産だけでなくプラスの財産を含めてすべての財産を放棄する制度で、マイナスの財産だけ放棄することはできません。なお、手続きが複雑で時間もかかるため、あまり使われていませんが亡くなった方のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する限定承認という制度もあります。
相続放棄、限定承認のいずれの方法でも注意しなければならないのは、期限が定められているということです。自分が亡くなった方の相続人だと知った時から3か月以内に家庭裁判所に手続きをしなければなりません。
何も手続きを行わないと単純承認といって借金も含めて全財産を相続したものとみなされます。
ただし、財産の調査に時間がかかってしまい、3か月以内にその調査の結果がわからない場合は、家庭裁判所に申立てを行い期間を延長することができます。
(相続放棄について詳しくは、「相続放棄をすれば絶対に借金を請求されない? 放棄ができなくなる場合があるって本当?」をご覧ください。)
借金があるかどうか不安なときはすぐにご相談を
以上のように、亡くなった方に借金が多い場合は相続放棄を検討することになりますが、相続放棄には期限があります。また、そもそも借金が多いかどうかを調べるには、ある程度の時間がかかります。
亡くなった方に借金があるかもしれないといった不安を抱えている方は、早い段階から弁護士や司法書士などの専門家に相談し、相続財産の調査やその結果を受けての対応などの手続きを依頼することをおすすめします。
私どもは、相続財産の調査や、その結果を受けての相続放棄に関するご相談などをお受けしています。お気軽にお問い合わせください。